イノベーションの最終解 序章概要
内部者が外を見る視点
戦略の構築・実行を担当する、全社的な意思決定者の視点
イノベーションのジレンマ:新規成長事業を立ち上げるのがなぜこれほどまでに難しいのか
イノベーションへの解:イノベーションを起こそうとする人たちのために、理論を用いることによって、成長事業を立ち上げるプロセスで予測通りの結果を導く方法
外部者が内を見る視点
イノベーションの最終解:イノベーションが業界にどのような変化をもたらすのかを分析するために理論を用いる方法
優れた経営理論にあるもの
状況ベースの区分
因果関係(ある状況で、何が何を引き起こすか)
イノベーションのプロセスを解き明かす理論
(1) 破壊的イノベーションの理論
(2) 資源・プロセス・価値基準の理論
(3) バリューチェーン進化の理論
破壊的イノベーションの理論(破壊理論)

単純、安価、画期的
新しい組織が相対的に単純、便利で、低コストのイノベーション を利用して成長を生み出し、強力な既存企業に打ち勝つことができるような状況を指摘する。
既存の優良企業は持続的イノベーションの戦いでは、新規参入企業に勝つ可能性が高いが、破壊的イノベーションで攻撃をしかけてくる企業には、ほぼ必ず負ける。
破壊理論の特徴
企業の性能向上曲線は、製品・サービスが時間とともに改良されていく様子を示す。
顧客の需要曲線は、顧客に使いこなせる性能がどのように移り変わってきたかを示す。
需要曲線が示すように、特定の市場用途での顧客のニーズは、時間が経過してもそれほど変化しない。
持続的イノベーション:確立した性能向上曲線を企業がのぼっていく原動力になるもの
顧客がそれまで重視してきた特性において、既存製品に加えられる改良である。
破壊的イノベーション:新しい価値提案を実現するもの。
破壊的イノベーションには、新しい市場を生み出すもの(新市場型)と、既存市場を大きく変えるもの(ローエンド型)の2種類がある。
ローエンド型破壊が起こるのは、既存顧客が使いこなせる価値に比べて、製品・サービスが「性能過剰」になり、高価になりすぎたときである。
ローエンド型破壊は、既存顧客に相対的に単純な製品を低価格で提供することから始まる。
新市場型破壊的イノベーションが起こるのは、既存製品の特性のせいで、潜在的顧客の数が制限されているとき、または不便で集中的な場所で消費を行わざるを得ないときである。
新市場型破壊は、高度な専門知識か豊富な資金がなければできなかったことを、より簡単にできるようにすることで新しい成長を創出する。
Resource, Process, Value
資源:組織が購入、売却、構築、破壊できるモノや資産
プロセス:組織が資源のインプットを、より価値の高いアウトプット(製品・サービス)に変換するために用いる、確立された仕事のパターン
価値基準:組織が資源を配分する際に参照する基準
資源・プロセス・価値基準の理論(RPV理論)
能力の構成要素
資源(企業がもっているもの)、プロセス(企業が仕事をする方法)、価値基準(企業がしたいこと)が合わさって、組織としての強み、弱み、死角を決定している。
RPV理論によると、組織が事業機会をものにできるのは、その組織に成功するための資源があり、なすべきことを容易にするプロセスがあり、資源を求めるその他すべての機会の中から、その特定の機会に高い優先順位を与えるような価値基準があるときである。
優良企業は、持続的イノベーションを優先させる価値基準と、持続的イノベーションに対処するために設計されたプロセスと資源を持っている。
優良企業が破壊的イノベーションを前にして失敗するのは、価値基準が破壊的イノベーションを優先せず、既存のプロセスが助けにならないからである。
資源、プロセス、価値基準
| 資源 | プロセス | 価値基準 |
|---|---|---|
| 組織が購入、売却、構築、破療できるモノや資産 例)
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企業がインプットを製品・サービスに変えるために用いる、確立された仕事のパターン 例)
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組織が優先順位づけを行う際に参照する基準 例)
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バリューチェーン進化の理論(VCE理論)
「十分でない」ものを改良するための統合
企業が競争を勝ち抜くために、組織設計に関する適切な意思決定を行っているかどうかを評価するもの。
企業は顧客が最も重視している特性における性能を向上させるような付加価値活動(またはその組み合わせ)をコントロールすべきである。
顧客が最も重視している製品の特性に影響を与えないような付加価値活動は外注すべきである。
統合型企業
統合型企業は、予測不能な「相互依存性」が引き起こす問題を解決する試みを自由に行うことができるため、いずれ完全なプラットフォームを手に入れる。
統合型アーキテクチャは相対的に柔軟性に欠け、統合型企業は相対的に対応が遅くなる傾向にある。
専門的企業
専門的企業は、自社製造の部品が他社製造の部品と予測不能な方法で作用し合うと、性能と信頼性の劣る製品を生み出してしまう。
バリューチェーンの限られた部分を最適化することにかけては、専門的企業の方が長けている。
モジュール型アーキテクチャ
分業化を容易に(または可能に)する反面、 製品化に要する時間、対応の早さ、利便性という面での性能が犠牲になる。
製品全体を設計し直すことなく、個々のサブシステムを改良するだけで、製品をカスタマイズできる。
優れた理論
過去が将来予測のよい判断材料になるのは、将来の状況が過去の状況に似ているときに限られる。
優れた理論は、データが不足しているときでも、重要な動向を理解するための確実な方法を与えてくれる。
理論を使えば、変化のシグナルを明らかにし、業界のプレーヤーに与える影響を説明することができる。
業界の変化を予測する方法

第1章:「変化のシグナル」を識別する方法
変化のシグナル:とは、変化が起こりそうな状況や、過去とはかけ離れた将来が出現しそうな状況を指し示すシグナル。
変化のシグナルが見られる状況では、過去に例のない新しい製品・サービス、ビジネスモデルをもった企業が現れると予想される。
破壊的イノベーションは、既存市場とは一見かけ離れた場所で生まれる場合もあれば、当初取るに足りないと思われる場所に生まれる場合もある。
第2章:「競争のバトル」を評価する方法
競争のバトル:「攻撃側の企業」と「既存企業」とに大まかに定義される企業の直接対決である。
理論を活用すれば、新規参入企業と既存企業のバトルでの勝者を予測することができる。
第3章:競争のバトルの帰結に影響を与える「戦略的選択」
攻撃者が力の均衡を自らの有利に傾けるために何ができるか。
既存企業が攻撃に対抗するために何ができるか。