イノベーションの最終解 第3章-11:戦略的選択 ー 重要な選択を見極める
既存企業が適切な準備計画を実行し、適切な戦略構築プロセスを用い、適切な経営者を採用し、適切な資金源から資金を調達することができなければ、スピンアウト組織をつくったり、社内で破壊のエンジンを開発しようとしても、必ず失敗する。
1. 破壊を推進するスピンアウト組織をつくる
既存企業は新規参入企業に必ずしも破壊されるとは限らない。新しいベンチャー事業を設立して他社を破壊することもできる。スピンアウトを実行するには、完全に独立した事業体を設置し、その事業体に独自のスキルを開発し、独自の成功基準を確立する自由度を与える必要がある。
「取り込み」が、社内の能力を動員して破壊的新規参入企業を撃退しようとする試みであるのに対し、「新しいベンチャーをスピンアウトさせる」のは、干渉を受けない外部組織をつくって戦いに参入しようとする試みである。
スピンアウト戦略の成否を判断するには、既存企業がスピンアウト組織の適切な要素を分離させ、その組織が独自の価値基準により、独自の準備計画を実行できるよう取り計らう必要がある。既存企業がスピンアウト組織に十分な自由度を与えれば、攻撃してくる新規参入企業に対して極めて有利な立場に立てる。また破壊の道筋を歩みやすくするような「資源」や「プロセス」をスピンアウト組織に授けることで、形勢を有利に傾けることもできる。
イノベーションを推進する組織をスピンアウトすることは、イノベーションマネジメントにおける万能の解決策ではない。スピンアウト組織が理に適うのは、既存企業が事業機会を追求するためのスキルや、それを社内で開発する動機づけを持っていないときに限られる。