イノベーションのジレンマ 第7章-4:新しい成長市場を見いだす

事例:インテル

インテルは世界最初のDRAMを生産したメーカーだが、ある請負案件でマイクロプロセッサーを開発し、その特許を買い取ったことをキッカケに、マイクロプロセッサーを生産するメーカーへと変貌していった。

マイクロプロセッサーは破壊的技術であった。その理由は、複雑な論理回路で構成されていた当時の大型コンピュータの中央演算装置(CPU)に比べると、機能は限定されており、サイズが小さく単純であったが、論理と計算の実行を可能にしたからである。

DRAM市場の競争が激化した1970年代には、インテルのDRAMの利益率は低下しはじめ、利益率の高かったマイクロプロセッサーへと生産がシフトしていった。インテルの資源配分プロセスは、経営幹部の意思とは関係なく、利益率に応じて自律的に機能するものであった。マイクロプロセッサーがどのような用途に使われ、規模がどこまで拡大するのかを予想したのではなく、利益率の変化に合わせて生産が自律的にシフトしたため、インテルは成功した。

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