イノベーションのジレンマ 第10章ポイント
破壊的イノベーションに直面したときの行動
- 破壊的技術の市場と製品を分析する
- 現在の主流市場の需要を定義し、それを破壊的製品の能力と比較する
- 市場の需要を測るため、顧客の意見を聞くだけでなく、顧客の行動を注意して観察する
- 技術の軌跡グラフから破壊的技術かどうかを予測する
- 破壊的製品になるには、いつか主流市場の一部で競争力を持つであろう性能向上の軌跡に乗っていなければならない
- 「市場で求められる性能向上」と「製品によって供給しうる性能向上」の軌跡を予測し、技術の方が需要より速いペースで進歩するのであれば、破壊の脅威は現実のものとなる
- 新市場を開拓するマーケティング戦略を策定する
- 戦略策定のポイント
- 破壊的製品は「最初は主流の用途には使えないこと、確立した市場がないこと」を認識しておく
- 破壊的技術の市場に早い時期に参入すれば、後続の企業よりはるかに優位に立つための能力を身につけられる
- 足がかりとなる市場収益をあげて事業基盤とし、その後の持続的イノベーションにはずみをつけ、破壊的技術として上位市場へ、そして主流へと移行する
- 主流市場で破壊的技術の競争力を失わせている特性があれば、それは新しいバリュー・ネットワークでは有利な特性になる
- 実際に市場に踏み込み、試 行と錯誤を繰り返して、顧客へ製品を販売することで得た情報だけが役に立つ
- 事業戦略は「実行」ではなく「学習」のための計画でなければならない
- 戦略策定のポイント
- バリュー・ネットワークと潜在市場を予測する
- バリュー・ネットワークや市場の予測は「破壊的技術の発展」に矛盾しないようにする。
- 製品のライフサイクルを考慮して設計する
- 設計における前提
- 製品のライフサイクルとともに競争の基盤は変化する
- 性能の供給過剰(技術によって供給される性能が市場の実際のニーズを超えること)が起きると、進化自体が循環する
- 性能の供給過剰が起きると、『単純『低価格』『便利』な技術が求められて破壊的技術の入り込む余地が生まれ、そこに『シンプルさ』『便利さ』といった特性を価値基準に持つ新しいバリュー・ネットワークが生まれる可能性がある
- 設計における前提
- 破壊的技術の設計ポイントを抑える
- 単純で信頼性が高く、便利な製品でなければならない
- 特徴、機能、スタイルを短期間に低コストで変更できる製品プラットフォームを設計する
- 製品の初期モデルは短期間に低コストで仕上げ、市場からのフィードバックに合わせて作り直すための予算を十分に残しておく
- 主流市場の製品よりも価格(あるいは単価)を低く設定する
破壊的技術のポイント
- 破壊的技術は、実証済みの技術からできた部品で構成され、それまでにない特性を顧客に提供する新しい製品アーキテクチャーの中で組み立てられる
- 破壊的技術においては、新しい流通経路を見つけるか、創設する必要がある
破壊的プロジェクトを実行する組織のポイント
- 主流組織から独立した破壊的技術に特化した組織を整え、その組織を新しいバリュー・ネットワークの中に組み込む
- 独立組織にすると「資源依存モデルが(親組織ではなく)自分たちのために機能する」だけでなく「小さな市場では大企業が成長できず利益を出せない」という原則にも対応できる
- 「プロジェクトが組織の成長と収益性を高めるための通過点である」ということを理解してもらう
- プロジェクトの失敗を小さくとどめるために、主流組織の価値基準と文化を変えるか、新しい組織を作る必要がある
- スカンクワーク(従業員が本来やるべき業務以外の自主的活動)やスピンアウト(会社の一部門を切り離して独立させること)が適切な手段となるのは、破壊的イノベーションに直面したときのみである
- バリューチェーン全体に影響を与えるようなアーキテクチャーの変更が発生する場合は、主流企業からは独立した組織で、重量級チームがマネジメントする必要がある