イノベーションへの解 第2章-7:最強の競合企業を打ち負かす方法
『イノベーションのジレンマ』は、破壊的戦略に従えば、利益ある成長事業を生み出す確率が6%から37%に高まることを示した。新成長事業の創出を試みる経営者は、優良企業に無視するか逃走する気を起こさせるような製品や市場を狙うべきである。
『イノベーションのジレンマ』では、破壊的イノベーションのモデルを図2-2のように表現した。縦軸に製品の「性能」、横軸に「時間」をとり、2つの軸から構成される面は、顧客が製品やサービスを購入し使用する、特定の用途市場を表している。この平面(次元)のことを「バリュー・ネットワーク」と呼んだ。
図2-2. 破壊的イノベーション・モデル(2次元モデル)
企業はこのバリュー・ネットワークという環境の中で、コスト構造や業務プロセスを確立し、サプライヤーやチャネル・パートナーと協力して、ある階級の顧客に共通するニーズを満たして利益を得る。バリュー・ネットワークの中では、各企業の競争戦略、そして特にコスト構造や、対象とする市場や顧客の選択によって、企業がイノベーションの経済的価値をどう認識するかが決まる。