イノベーションへの解 第7章-6:破壊的成長能力を持つ組織とは

<価値基準>

組織の価値基準とは、従業員が仕事の優先順位を決定する際に用いる判断基準を指す。例えば、ある注文が魅力的かどうか、顧客が重要かどうか、新製品のアイデアが魅力的か取るに足りないか、などを判断する際の基準である。

企業が大規模で複雑になればなるほど、役員があらゆるレベルの従業員を訓練して、企業の戦略的方向やビジネスモデルと整合性の取れた優先順位の決定を、自発的な行動のもとで下せるように教育することが重要になる。また企業の価値基準は、いずれはその企業のコスト構造や収益モデルに適合するような形に変わって行かねばならない。

「資源」と「プロセス」が、組織に何ができるかを定義する成功因子であることが多いのに対し、「価値基準」は組織ができないこと、つまり制約を定義する。また、全く異なるコスト構造に基づく価値基準を持つ企業は、優先順位の付け方も異なる。このような価値基準の違いが、破壊する者と破壊される者との間に存在する「モチベーションの非対称性」を生み出す。

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