イノベーションへの解 第7章-8:破壊的成長能力を持つ組織とは

イノベーションを成功させる能力が「資源」から「プロセス」や「価値基準」へと移動するにつれて、成功を持続させることが容易になる。組織の能力が「資源」よりはむしろ「プロセス」や「価値基準」に根ざしているため、毎年質の高い仕事をこなし続けることができる。

新しい企業の「プロセス」や「価値基準」には、一般に創業者の行動や姿勢が色濃く反映される。創業者の問題解決手法や意思決定基準に基づいて反復作業に取り組み、成功を収めるうちに、企業に「プロセス」が確立されていく。同様に、創業者の優先順位に従って「資源」の用途に優先順位付けをし、経済的な成功を収めるうちに、企業の「価値基準」が形成されていく。

成功を収めた企業が成熟するにつれ、従業員はそれまで受け入れていた優先順位や、それまで成功を収めてきた仕事のやり方や意思決定手法が、正しいやり方だと思い込むようになる。これらの「プロセス」や「価値基準」が「企業文化」を形成するようになる。そして「文化」は従業員に一貫した行動を余儀なくさせることができることから、強力なマネジメント手段に成り得る。

このように、組織の能力と無能力を定義する最も強力な要因は、「資源」からやがて、認識しやすい「プロセス」と「価値基準」へ、そして「文化」へと移動する。組織の能力が「プロセス」や「価値基準」に移動し、特に「文化」に埋め込まれてしまうと、変革はとてつもなく困難になる。

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