イノベーションへの解 第9章-18:良い資金もあれば、悪い資金もある

企業が新成長事業に資金を提供するために、コーポレート・ベンチャーキャピタル部門を設置しても、ほとんどが成功しないか、長く存続はしない。こうしたファンドが利益ある成長事業を育成できないのは、破壊的イノベーションではなく持続的イノベーションに投資するから、あるいは相互依存が必要なときにモジュール式の解決策に投資するからである。「成長を気短に急かすが、利益は気長に待つ」という投資を行うと、そのほとんどが失敗する。

企業であれ、ベンチャーキャピタリストであれ、投資状況の変化により新事業に急成長を求めるようになれば、新事業の成功率は目に見えて下落する。どちらの投資家であっても、確かな理論に従えば、成功する可能性は大幅に高まる。

投資を行う人と、その資金を受け入れる人は、次のことを意識した方がよい。

  • 成長を気長に待て、だが利益を待ってはいけない
  • 成長する必要がないときに成長を追求する

破壊的イノベーションのための足がかりを見つける鍵は、最初は「小規模ではっきりしない市場分野」、理想的には「無消費を特徴とする市場分野」にある用事と結び付くような事業を行うことである。早期に利益を実現するよう心掛ければ、新事業の資産基盤の拡大を促すために必要な資金を、投資家から引き出し続けることができる。

早期の収益化を求めることは、成功を持続させるための鍵である。なぜなら、潜在的ライバルが喜んで無視するような「用事」を見失わずに済むからだ。潜在成長力を実現するため、初期の持続的イノベーションを模索する間も、常に「用事」と結び付いた状態でいれば、収益性を保つことができる。
 

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