イノベーションへの解 第4章概要

破壊的イノベーションのポイント
第2章:既存事業を成長させるためには持続的イノベーションが重要だが、新成長事業として成功する確率が高いのは破壊的戦略である。
第3章:企業は、顧客が片づけようとしている用事を反映する区分ではなく、データが入手可能な区分に沿って市場を細分化することが多い。

戦略の間違い
企業は誤った細分化の枠組を用いて、顧客が欲しがらない製品を市場に出すことが多い。
それは、顧客が片づけようとしている用事とは無関係な標的に狙いを定めるからである。

ローエンド型破壊のポイント
ローエンド型破壊で成功する秘訣は、ローエンドのビジネスを勝ち取るために必要な低い価格でも、魅力ある利益を得られるようなビジネスモデルを考案することにある。

新市場型破壊のポイント
新市場型破壊の顧客、つまり「無消費者」を見つけるには、3つのリトマス紙(用事の質問)を用いるとよい。
無消費は、用事を片づけたいが、市販製品が高すぎたり、複雑すぎたりするため、自力で出来ずにいるときに発生する。
新市場型破壊は、金やスキルを持たなかった大勢の人が、製品を購入し、利用することで、自力で用事をこなせるようにするイノベーションである。
無消費とは、用事を片づける必要があるが、望ましい解決策がこれまで手の届かないところにあった状況のことである。
新市場を標的とするイノベーターの行為=無消費に対抗している

優良企業の意識
優良企業は、この4つのパターンが起こっている間は、新興市場への参入者を自分たちの安泰を脅かす存在として考えない。

(1) ターゲット顧客はある用事を片づけようとしているが、お金やスキルを持たないため、解決策を手に入れられずにいる。

(2) このような顧客は、破壊的製品をまったく何も持たない状態と比較する。そのため、本来のバリュー・ネットワークの中で、高いスキルを持つ人々に高い価格で販売されている製品ほど、性能が良くなくても喜んで購入する。こうした新市場の顧客を喜ばせるための性能ハードルは、かなり低い。

(3) 破壊を実現する技術の中には、非常に高度なものもある。だが破壊者はその技術を利用して、誰でも購入し利用できる、シンプルで便利な製品をつくる。製品が新たな成長を生み出すのは「誰でも使える」からこそである。お金やスキルをそれほど持たない人々でも消費を始められる。

(4) 破壊的イノベーションは、まったく新しいバリュー・ネットワークを生み出す。新しい顧客は新しいチャネル経由で製品を購入し、それまでと違った場で利用することが多い。

イノベーションのジレンマと非対称性
優良企業のマネージャーは、本能的に破壊的イノベーションを脅威として捉え、既存の顧客や事業の防衛に注力する。
将来、破壊から既存顧客を守る必要が生じたときに、新技術を導入してその場に臨もうとする。
その結巣、組織は成長機会を逃すだけでなく、最終的には、自らの破滅を招くような戦略を追及することになり、無消費から現れた破壊者にやがて滅ぼされる。
新技術が将来的に顧客を奪おうとも、企業の生命線である既存顧客からの収益は、いかなる犠牲を払ってでも防御しなければならない。
優良企業がこのようなジレンマに直面するのに対し、新規参入者にとって破壊は成功を得るための「機会」である。
この認識の非対称性こそが、優良企業が破壊的技術を無理やり主流市場に押し込もうする理由である。

イノベーションのジレンマを脱出する方法
図4-1. 資源のコミットメントを獲得し、それを破壊的な成長機会に向ける方法
(1) 資源配分プロセスでは破壊的イノベーションを「脅威」として位置付けることで、最高幹部からコミットメントを引き出す。
(2) 破壊的イノベーションを「機会」として捉えることができる自律的な組織に、そのプロジェクトを任せる。

資源配分プロセスのポイント
新市場型破壊を通じて成長を生み出すためには、並行して別の資源配分プロセスを持ち、破壊的な可能性のある機会を既存の資源配分プロセスに導き入れなければならない。
破壊的事業のアイデアは、まだ十分に熟していない状態で並行プロセス(主流市場に向けた既存の資源配分プロセスと新市場型破壊を実現する新しい資源配分プロセスが並行する状態)を生み出す。
並行プロセスを統括する者は、アイデアを先述した4つのパターンに適合するような事業計画として形成しなければならない。

破壊とチャネル
チャネルに属するすべての企業が「利益をあげながら成長する」という用事を片づけなければならない。
自社の新製品を上位市場に移行するための原動力として捉えてくれるチャネルを探さなければならない。
チャネルが新製品によって競争相手を破壊すれば、企業は「チャネルのエネルギー」を活用して、破壊的イノベーションを起こしたことになる。
大きく成功した破壊では、製品とそれを顧客に届けるチャネルとの間に、相互に利益をもたらす関係が成立する。
「持続的向上において最も収益性の高い製品を販売する」という責務から逃れてしまうため、破壊的製品の推進に、特別な金銭的インセンティブを与えるのは賢明ではない。
破壊的製品には、破壊的チャネル(破壊的能力を秘めたサービス企業)が必要となる。

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