イノベーションの最終解 第4章-7:イノベーションに影響を与える市場外の要因
政府の影響を予想する上で理解しなければならない3つの原則は次の通りである。
原則1:適切な動機づけを持たせるのは難しい
政府によって企業に適切な動機づけを持たせるのは難しい。政府は「市場が最適に機能していない」というシグナルを「市場が機能していないのは、別のところに根本原因がある」というノイズと取り違える。また仮に政府が根本原因を特定できたとしても、それに対処するのは難しい。
政府は、市場に新規参入する企業が不足していることに対処するために、潜在的競合企業の動機づけを高めようと施策を講じる。このような競争不足の状況においては次のことが言える。
- 既存の規制の枠組み、または何らかの外部性が市場の不均衡を招いているときであれば、「市場が機能不全に陥っていてイノベーションの自然なプロセスが阻害されていることを示すシグナル」として解釈してよい。
- 専門的企業の新規参入を阻害している根本原因が、業界の基本的な経済性にあるか、または相互に依存的なシステムにあるときは「ノイズ」として解釈すべきである。
シグナルに対処するための措置が、動機づけをもたらすことはある。しかし、ノイズに反応してしまったり、根本原因への対応を間違ったりすると「見せかけの動機づけ」をもたらしてしまう。「本物の動機づけ」が競争の激しい市場で利益を上げる機会から生まれるのに対して、「見せかけの動機づけ」は補助金や助成金といった金銭的インセンティブが与えられることで生まれる。
政府と投資家が有望なビジネスモデルやイノベーションを辛抱強く支援するスタミナを持っていれば「見せかけの動機づけ」を「本物の動機づけ」に変えることはできる。