イノベーションのジレンマ 第2章ポイント
優良企業が技術革新に直面したときの失敗原因
- 組織とマネジメント:優良企業の組織構造は、主要製品を設計しやすいように作られている
- 能力と根本的な技術:優良企業は、既存の技術を改良する能力には長けているが、全く異なる知識体系を必要とする技術改良においては、すでに他の業界などで別の知識体系を蓄積してきた新規参入企業に比べると不利である
バリュー・ネットワークと資源配分
- バリュー・ネットワークの中では、過去の市場の選択によって、新技術の経済的価値をどう認識するかが決まる
- 持続的技術や破壊的技術によってどのような利益を期待するかは、その技術の経済的価値に対する認識によって異なる
- 優良企業は高利益を期待するがゆえに、資源を持続的イノベーションに投下し、破壊的イノベーションには与えないため、破壊的イノベーションでは敗者となる
ディスク・ドライブ業界において開発・商品化の意思決定プロセスに影響を与えた要因
- 破壊的技術は、まず既存企業で開発される
- 優良企業のマーケティング担当者は既存製品の主要顧客に意見を求める
- 優良企業は競争に勝つために、持続的技術の開発速度を上げる
- 優良企業を辞めた人たちが新会社を設立し、試行錯誤の末、破壊的技術の市場が形成される
- 製品の性能が向上すると、新規参入企業は上位市場ヘ移行する
- 優良企業は、顧客基盤を守るために遅れて市場へ参入するが、新規参入企業のコスト構造には勝てず価格競争に負ける
バリュー・ネットワークから見る技術革新の性質と優良企業が直面する問題
- バリュー・ネットワークは、イノベーションを妨げる技術的、組織的障害を克服するための資源や能力の獲得に影響を与える
- バリュー・ネットワークの境界を定めるのは、製品の性能に対する独自の評価や、顧客ニーズ対応のためのコスト構造である
- イノベーションに対する努力が商業的に成功するかどうかを決定する要因は、バリュー・ネットワーク内の関係者のニーズにどこまで対応するかである
- 優良企業は、バリュー・ネットワーク内のニーズに応えるあらゆる種類のイノベーションを、技術的な性質や難度にかかわりなく率先して進める傾向にある
- 新しいバリュー・ネットワークの顧客ニーズにしか応えない技術革新では、技術的に単純なものであろうと、優良企業の方が遅れをとる傾向にある
- 優良企業が顧客ニーズに応えない技術を無視しようと決めるのは「あるバリュー・ネットワークの中で長期的に求められる性能の軌跡」と「ある技術のパラダイムの中で技術者が提供できる性能の軌跡」が交わるときである
- 破壊的イノベーションは、優良企業よりも新規参入企業に適している
- 優良企業が破壊的イノベーションで優位に立つためには、そのバリュー・ネットワークに参入する必要がある
- 優良企業より新規参入企業の方が、新しいバリュー・ネットワーク(新しい用途の市場)を攻撃しやすく、開発戦略を立案しやすい
自社の属するバリュー・ネットワークにイノベーションがもたらす影響
- イノベーションに関わる性能指標が、すでに企業が属しているバリュー・ネットワークの中で評価されるか
- イノベーションの価値を実現するために、他のバリュー・ネットワークに参入したり、新しいネットワークを創設する必要があるか
- 将米的に市場の軌跡と技術の軌跡が交わり、現在は顧客のニーズに応えられない技術が、いずれ応えられるようになるか