イノベーションのジレンマ 第8章-6:組織にできること、できないことを評価する方法

新興市場を追求する能力は、小規模な破壊的企業の方が優れているため、大企業はそのような市場を放棄することが多い。小規模企業には資源が不足しているが、小規模な市場を受け入れる価値基準があり、低い利益率に対応できるコスト構造がある。アバウトな市場調査と資源配分プロセスをもとに、経営者が直観的に事業を進めることができる。

変化や革新に直面したときに経営者が対処すべきことは、発生している問題に適切な資源を配分することだけではない。その資源が投下される組織そのものに、成功する能力を持たせなければならない。また組織のプロセスや価値基準が問題解決にふさわしいものかどうかを確認しなければならない。

組織が設立されたばかりのときは、組織の資源である人材に依存するが、時が経つにつれて、組織の能力の中心はプロセスや価値基準へと移っていく。従業員が協調して反復作業に対応すると、プロセスが明確になる。さらに事業モデルが形成され、どのような事業の優先順位が最も高いかが明らかになってくると、価値の基準が生まれる。

関連コンテンツ