イノベーションのジレンマ 終章ポイント
破壊的技術の特徴
- 優良企業がたびたび失敗するのは、その企業を業界リーダーに押し上げた経営慣行そのものが、破壊的技術の開発を困難にし、最終的に市場を奪われるからである
- 破壊的技術は市場の価値基準を変え、それが出現するときは、主流顧客が評価する特性において性能が低い
- 破壊的技術には、新しい顧客に評価される別の特性(低価格、小型、単純、使いやすい)がある
- 破壊的技術によって新しい市場が開拓されると、その後性能が高められていき、やがて従来の市場を浸食するようになる
破壊的技術の五原則
- 企業は顧客と投資家に資源を依存している
- 優良企業には、顧客が求めないアイデアを切り捨てるシステムが整備されており、利益率が低い破壊的技術に十分な資源を投資することは極めて難しい
- 小規模な市場では優良企業の成長ニーズを解決できない
- 会社の規模が大きくなるにつれ、将来は大規模な市場になるはずの小さな新興市場に参入することが難しくなっていく
- 存在しない市場は分析できない
- 数値的根拠がなければ市場に参入できない企業は、まだ存在しない市場に向かう破壊的技術に直面したとき、手も足も出なくなる
- 組織の能力は無能力の決定的要因になる
- 組織の能⼒を⽣みだすプロセスや価値基準も、状況が変わると、組織の無能⼒の決定的要因になる
- 技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない
- 2つ以上の製品が十分な性能基準を満たせば、顧客は『性能 → 信頼性 → 利便性 → 価格』の順で製品を選ぶようになる
破壊的技術に直面した経営者が実行すべきこと
- 破壊的技術の開発を、そのような技術を必要とする顧客がいる組織に任せることで、プロジェクトに資源が流れるようにする
- 独立組織は、小さな勝利にも前向きになれるように小規模にする
- 破壊的技術を商品化するための初期の努力は「学習の機会」と考え、データを収集しながら修正していく
- 躍進は期待せず、早い段階から行動して、現在の技術の特性に合った市場を見つける
- 主流市場にとって魅力の薄い破壊的技術の特性が、新しい市場を作り出す要因になると考える
「イノベーションのジレンマ」の要点
- 破壊的技術には次のような特徴がある
- 単純、低価格、性能が低い
- 一般的に利益率が低い
- 優良企業にとって最もうまみのある顧客は、通常、破壊的製品を利用せず、利用したいとは考えない
- 最初は新しい市場か小規模な市場で商品化される
- どのような市場でも、企業は上位市場の価格の高い複雑な製品へと移行する傾向がある
- 大企業にとって致命的に成り得る上位市場へ移行する傾向は、新興市場が主流市場へと発展していく原動力にもなっている
- 破壊的技術を商品化する場合、予想が間違っているという想定のもとに投資を開始することが重要である
- 破壊的技術の商品化に成功するには、その新技術の特性を最も評価する別の顧客層を見つけなければならない
- 顧客の判断基準は『性能 → 信頼性 → 利便性 → 価格』の順に移行するのが通常である
- 組織の下部で事業部長に提示する案を決定するマネージャーがその力を持っている
- 破壊的技術が採用されるかどうかは、組織の中間層に位置するマネージャーの考え方に左右される
- 破壊的技術は、技術的な挑戦ではなく、マーケティング上の挑戦ととらえる必要がある
- 技術の性能が飛践的に向上するまで待つのではなく、むしろ他の顧客が欠点とみなす特性を評価する顧客を見つける必要がある
- 企業が主流市場でリーダーになるための経営慣行そのものが、破壊的技術によってもたらされる機会を失う原因になる