イノベーションへの解 第9章-15:良い資金もあれば、悪い資金もある

「創発的戦略プロセスを加速させるために出費を抑えて早期の利益実現を図る」という方針は、どのような状況にあっても強制すべきではない。新市場型破壊のような有効な戦略を探る必要のある状況では有用だが、ローエンド型破壊ではそうでない。

ローエンド型破壊では、正しい戦略は極めて明確な形で、極めて早い段階で明らかになることが多い。用途市場が明らかになり、持続的にかつ利益をあげながらその市場を開拓できるビジネスモデルが出現したなら、成長を気短に急かしながら、できるだけ早急に積極的な投資を行うことが望ましい。

新事業の資金が打ち切られる理由として多いのは、事業が計画通り進まないからではなく、むしろ不調な中核事業を回復させることに全資源を集中させる必要が生じるからである。

新事業において早期の利益が実現しないと、中核事業の業績が低迷したときに、財務状況の改善に大きく寄与しない新成長事業が真っ先に犠牲になる。

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