イノベーションへの解:事例3. デパート

図2-5. 破壊的ルーツを持った企業・製品・ジャンルの例

3. デパート

<サービス × ローエンド型破壊>

  • 取扱商品の戦略的選択:当初は販売員の商品知識が乏しかったため、「使い方が知られていて説明不要な商品」から販売を開始(例:靴下、石鹸、布など)。
  • スケールメリットを活かした低価格販売:単品大量仕入れと在庫回転率の向上(3回転)により、粗利益率40%でも十分な収益を実現し、価格競争力で既存店を圧倒。
  • 豪華な店舗設計による新しい購買体験:ワナメーカーズの例では、宝石部・敷物部・クリスマス装飾など、視覚・感覚を楽しませる店舗空間を提供。
  • 広範な品揃えによるワンストップショッピング:食品・衣料・日用品などを一か所で買える利便性と時間効率が、専門店よりも消費者に好まれた。
  • 定価販売制度:価格交渉を排して、誰でも同じ価格で購入できる透明で安心な取引モデルを提供。
  • 従来の小売業モデルを破壊:在庫効率・価格優位・空間体験の3要素により、個人経営の小売店は競争力を失い閉店へ追い込まれた。
  • 現代小売の原型:モールやオンラインショッピングのような「大量・選択・体験」を重視した消費形態の原点となった。

<補足>

  • 1880年代のアメリカでは、デパートメントストアが小売業界において破壊的イノベーションをもたらした。
  • ソルクレイトシティのZCMI、シカゴのマーシャル・フィールド、ニューヨークのR・H・メーシー、フィラデルフィアのワナメーカーズなどのデパートは、小売店を破壊した。
  • 当初は販売員の商品知識がそれほどなかったため、最も単純な部類の商品、つまり使い方がよく知られていて「何もしなくても売れる」商品から手がけた。
  • 広範な品揃えと豪華な店舗設計で顧客を引きつけ、従来の小売店とは一線を画した。例えば、ワナメーカーズは1877年にフィラデルフィアに開店し、1880年代には宝石部や敷物部などを追加し、クリスマスの陳列商品も豪華に展示された。
  • デパートは在庫回転率を3回にまで高めることで、40%の粗利益率でも魅力ある利益を得ることができた。これにより、従来の小売店は競争力を失い、多くが閉店に追い込まれた。
  • 1880年代のデパートは、消費者の購買体験を大きく変え、現代のショッピングモールやオンラインショッピングの先駆けとなった。

関連コンテンツ