イノベーションのジレンマ 第6章-8:組織の規模を市場の規模に合わせる

小規模の新しい市場で破壊的技術を商品化するプロジェクトは、優良企業の成長を満足させられない。優良企業は、初期の破壊的技術によって生じるチャンスに見合う小規模な組織に、プロジェクトを任せる方がよい。それを実現するためには、確立した組織をスピンアウトさせるか、破壊敵技術に取り組む小規模な企業を買収すればよい。

破壊的技術を取り扱うプロジェクトを小規模な組織に任せた事例をいくつか紹介する。

  • 8インチ・ディスク・ドライブで市場参入を逃したコントロール・データ・コーポレーション社は、自社の主流顧客より影響を受けないよう、5.25インチ・ドライブを商品化する部門をあえてオクラホマシティに設置し、市場規模に見合った組織にプロジェクトを任せることで成功を収めた。
  • モーター制御装置業界で不動のリーダーであったアレン・ブラッドリー社は、プログラム可能制御装置メーカーであるインフォメーション・インスツルメンツ社の25%持分を取得し、プログラム可能電子式制御装置とその新市場に狙いを定めていたパンカー・ラモ社の新部門を買収した。アレン・ブラッドリー社はこれらを1つの部門にまとめ、新しい事業として運営したことで、ファクトリー・オートメーション向け電子式制御装置の大手メーカーへと成長した。
  • ジョンソン&ジョンソン社は、アレン・ブラッドリー社と同様の戦略で内視鏡手術装置や使い捨てコンタクトレンズなどの破壊的技術に対応し、大成功をおさめた。同社は160社以上の独立運営企業で構成されており、その内訳は大企業から小規模な企業まで多岐にわたる。

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