イノベーションへの解 第1章-1:成長という至上命令

<第1章のテーマ>

  • 金融市場は成長せよ、ますます速く成長し続けよ、と経営者を容赦なくあおり立てる。この至上命令を全うすることは、果たして可能なのか。
  • 投資家の成長要求を満たす見込みのあるイノベーションを推進すれば、逆に投資家には受け入れがたいリスクを負うことにならないのか。このジレンマに打開策はあるのか。

中核事業が成熟した後に新たな成長基盤を築くことに伴うリスクは非常に大きい。たとえ中核事業が力強く成長していても、株主の予測より速いペースで成長しない限り、市場平均を上回るリスク調整後のリターンを将来的には実現できない。企業が株価を引き上げるためには、市場予測を上回る速さで成長する必要がある。

一般に金融市場は、経営幹部のそれまでの実績に基づいて、企業が未知の事業からどれだけの成長を生み出すかを予測する。企業が優位性を活かして新たな事業を生み出してきたことを市場が評価すれば、「未知の事業が生み出す成長」が予測され、株価の上昇に影響を与える。

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