イノベーションへの解 第5章-3:事業範囲を適切に定める

製品の機能性と信頼性が、ある市場階層に属する顧客のニーズを満たすにはまだ十分でない「性能が十分ではない状況(青領域)」では、企業はできる限り優れた製品をつくることで競争しなければならない。競争では、独自仕様の相互依存型アーキテクチャを基に性能を最適化する企業に、大きな競争優位が約束される。

図5-1. 製品アーキテクチャと統合 図5-1. 製品アーキテクチャと統合

 
インターフェースの標準化が進むと、技術的に実現し得る最高のものから遠ざかってしまう。競争で遅れを取らないために、エンジニアは新製品を生み出すたびに性能ギャップを縮めようとする。利用可能な技術から最高の性能を引き出すために、システムの構成要素をますます効果的な方法で組み合わせようとする。

相互依存型の独自アーキテクチャで競争する企業は、統合型企業でなければならない。システムのどの構成部品を製造するにも、システム内の重要な部品の設計と製造をコントロールする必要があるからだ。

「性能が十分でない状況(青領域)」では、未熟な新技術が持続的向上のために採り入れられることが多い。新規参入企業がブレークスルー技術(画期的技術)の商品化に成功することがほとんどないのは、システムの他の構成要素にも変更を強いる相互依存関係が多すぎて、まったく新しい技術を組み込んだ有望な製品の商品化になかなかこぎ着けないからである。

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