イノベーションへの解 第6章-4:コモディティ化をいかにして回避するか

脱コモディティ化は、バリューチェーンの中の従来魅力ある利益を得ることが難しかった場所に起こる。脱コモディティ化は、かつて差別化が不可能だったモジュール型のプロセスや部品、サブシステム(メインシステムが使用可能になるために必要な機能の一部を提供する部品や構成要素の集まり)などで生じる。

脱コモディティ化は次のような理由により発生する。

  • モジュール型破壊者は、低コストのビジネスモデルをできるだけ速く上位市場に持ち込み、高コストの独自製品メーカーと最前線で競争し続けることでのみ利益を確保する。
  • モジュール型製品の組立業者は、再び利益の得られる上位市場へ駆け上がるために、性能決定サブシステム(性能を決定づける重要なシステム)の向上を求める。
  • その結果、性能決定サブシステムの供給業者は、ますます相互依存的で独自のアーキテクチャを生み出す。
  • すると最終製品がモジュール化し、コモディティ化して、結果的に性能決定サブシステムは脱コモディティ化する。

脱コモディティ化という補完的プロセスの要点をまとめると次のようになる。

  • モジュール型製品の組立業者による低コスト戦略が有効なのは、高コストの競合企業と競争する限りにおいてである。
  • モジュール型製品の組立業者が魅力ある利益を持ち続けるためには、コス卜の高い独自開発製品の供給業者をある市場階層から駆逐するや否や、できるだけ早く上位市場に移行して、再び高コスト企業と対決しなければならない。
  • 性能決定サブシステムは、モジュール型製品の組立業者がどれだけ速く上位市場へ移行できるかを制約または決定するメカニズムである。
  • 「競合よりも自社のサブシステムの方が最終製品の性能を高められる」と顧客に認識させるために、サブシステムの供給業者はより相互依存的で独自仕様の設計を開発せざるを得ない。
  • 同業者間の競争を通して、性能決定サブシステムの大手供給企業は、差別化された独自製品を魅力ある利益率で販売できるようになる。
  • 収益性の高い独自製品の創出は、次のコモディティ化と脱コモディティ化の周期の始まりである。

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