イノベーションへの解 第8章-3:戦略策定プロセスのマネジメント

創発的戦略策定プロセスから生まれる「創発的戦略」

創発的戦略(創発的戦略策定プロセスを通して生まれた戦略)は、従業員が優先順位や投資などについて日常的に下す決定の積み重ねである。これらは大抵、観念的でも未来志向でも戦略的でもない人々によって日々下される戦術的な業務上の決定である。

図8-1. 戦略が定義され実行されるプロセス 図8-1. 戦略が定義され実行されるプロセス

 
創発的戦略は、意図的戦略策定プロセスの分析・計画段階では予見できなかった問題や機会に、マネージャーが対処することによって生まれる。創発的戦略は、意図的戦略に変えることもできる。
 
将来を予見することが難しく、何が正しい戦略かはっきりしないような状況では、創発的プロセス主導で戦略を策定することが望ましい。それまで効果のあったやり方が将来はそれほど有効ではなくなることが予想されたときにも、創発的戦略が必要になる。他方、必勝戦略が明らかになれば、今度は意図的戦略策定プロセス主導で、戦略を策定しなければならない。

図8-1に示した「資源配分プロセス」は、どの戦略に資金を与えて実行に移し、どの戦略に資源を与えないかを決定する。企業が現実に遂行する戦略は、新しい製品やサービス、プロセスや買収企業などに、どのように資源が配分されるかを観察することによってのみ、知ることができる。

関連コンテンツ