イノベーションへの解 第7章-9:破壊的成長能力を持つ組織とは

一般的に、優良企業が新成長事業を構築するために、これまでとは異なる「資源」「プロセス」「価値基準」を用いる必要が生じるのは、中核事業が好調で、その成功を持続させるために必要な「資源」「プロセス」「価値基準」を変えられない時期である。そのとき「資源」「プロセス」「価値基準」を変革するマネジメントにおいては、一般に必要だと考えられているよりもはるかに臨機応変に対応する必要がある。

ハーバード大学のマイケル・タシュマン教授とスタンフォード大学のチャールズ・オライリー教授は「両手ききの組織/両利きの組織(ambidexterity)」を構築することの必要性について研究している。

彼らは、主流組織の価値基準に適合しない、重要な破壊的イノベーションを推進するためには、自律的な組織を「スピンアウト」させるだけでは不十分であると主張する。経営幹部がスピンアウトを実行するのは、破壊を重要課題から外して、主流事業に専心するためだけのことが多いからである。

彼らによると、真に「両手ききの組織」を構築するためには、一つの事業部門の中にこの2種類の組織、いわゆる「破壊的組織」と「持続的組織」を配置する必要があるという。

破壊的組織と持続的組織の運営は、これらを「1つのポートフォリオの中の2つのビジネス」として扱わないような事業部門に任せる必要がある。そして、2つの組織を統合して共有する必要があるものと、それぞれの組織が自律的に実行すべきものを、十分な配慮の下で区別する能力を持ったマネージャーに指揮を執らせなければならない。

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