イノベーションへの解 第6章-7:コモディティ化をいかにして回避するか
独自製品を持つ企業のブランドは、製品が最高であったとしても、上方にいる「機能性と信頼性に満足していない顧客」に向かって製品の価値を高める。これが下方の「スピードと利便性、レスポンスが競争における成功の原動力となる、モジュール化された製品」に向かって移動すると、収益性を生み出すブランド力は、最終製品から遠ざかり、サブシステムへ、そしてチャネルへと向かう。
製品の機能性と信頼性が十分以上になると、次に購入や利用の手続さと利便性が十分でなくなる。するとブランドは、これらのまだ十分でない側面を満足させるビジネスモデルを作ったチャネルへと移動し始める。
魅力的利益を獲得する能力とコモディティ化の関係をまとめると次のようになる。
- 魅力的な利益を獲得する能力は、バリューチェーンの中を動いて、直接顧客が入手可能な「製品」の性能にまだ満足していない付加価値活動へと移動する。
- 複雑で相互依存的な統合が生じるのは、バリューチェーンの「規模の経済性が急勾配で、一層の差別化を可能とするような活動」においてである。
- モジュール化、標準化によって差異がなくなると、魅力的な利益は「顧客が十分以上に満足している活動」から離れていく。
- 魅力的利益の獲得能力の変化は、改良軌跡上の破壊者が活動している地点で始まり、上位市場へと一つずつ階層を昇っていく。
- 魅力的利益の獲得能力の変化は、「十分でない」インターフェースをまたいで統合されている新しい企業に成功の機会を与える。
- 魅力的利益の獲得能力の変化は、新しい企業が最終利用システムの後端から「喰い上がっていく」ことを通じて、成長する機会を提供する。
- コモディティ化と脱コモディティ化のプロセスは、どちらもコアではなく周辺部で始まる。