イノベーションへの解 第9章-10:良い資金もあれば、悪い資金もある

直近の財務成果に現れるのは、実際には何年も前にプロセス改善や新製品開発、新事業創出のために行われた投資の成果でしかない。財務成果は当時の事業の健全性を計る尺度であって、今日の事業の健全性を計る尺度ではない。信頼性のあるデータは、過去に関するものしか入手できないが、それは将来が過去と類似しているのでない限り、正確な指針にはなり得ない。

既存の事業分野の業績を詳細に分析し、そのデータに基づいて意思決定を行うことは、利益をあげながら持続的向上の軌跡を昇るにあたって極めて重要なことである。破壊的な新事業で発見志向計画法を実行する際、どの前提条件が最も重要かを判断するには、起こり得る事象について形式に従った財務分析を行うことが役立つ。確かな理論があれば、淡然とした数字に戦略的意味を与え、入手したデータからシグナルを読み取れるようになる。

成長メーターがゼロの方に傾くまで待ってから、新成長事業で燃料を補給しようとしてもうまく行かない。成長メーターが「空」になったときに対処するのではなく、プロセスと方針によって、エンジンを常に作動させておく必要がある。

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