イノベーションへの解 第1章-4:成長という至上命令

産業や製品、サービスなどに基づく分類体系は、確かな理論の基盤にはなり得ない。確かな理論においては「属性」ではなく「状況」で区分する。相互に重複がなく全体として漏れがない(MECE: Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)状況の区分を明らかにすることができれば、何が、何を、なぜ引き起こすかを明らかにし、それが状況に応じてどのように変化するかを予測できるようになる。また状況に応じた方法で考え、行動する能力を培えば、物事を予測可能を高めることができる。

信頼できる理論の絶対条件とは、どのような行動が成功を導くかという言明のなかで「企業の置かれた状況の変化に応じて、事業や製品・サービスがどのように変化するか」が説明されていることである。

『イノベーションのジレンマ』は、利益を最大化させる資源配分メカニズムが、特定の状況下では優良企業を滅ぼすことを説明する理論をまとめた。それに対して『イノベーションへの解』は、新規事業を狙い通りに発展させ、破壊される側ではなく破壊者となって、ライバルの実績ある優良企業を最終的には破滅に追い込まねばならないマネージャーに指針を与える、さまざまな理論をまとめている。

狙い通り成功するためには、破壊者は優れた理論家でなければならない。また成長事業を破壊的な事業として形成するためには、重要なプロセスや意思決定をすべて、破壊的イノベーションの状況に合わせて調整する必要がある。

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