イノベーションへの解 第5章-8:事業範囲を適切に定める

企業が何かを外部調達するか、逆に何かを顧客に販売するためには、次の3つの条件が満たされていなければならない。

  1. 指定可能性:供給業者と顧客の両者が「構成要素のどの属性が製品システムの動作にとって重要で、どれがそうでないか」を識別できなければならない。
  2. 検証可能性:調達部品が条件を満たしているかどうかを検証するために、それらの属性を評価できなければならない。
  3. 予測可能性:サブシステムによって狙い通りの成果をあげるために、顧客はシステム全体の中でサブシステムがどのように相互作用するかを理解していなければならない。

この3つの条件が揃ってはじめて、効果的なモジュール型インターフェースとなる。製品の性能が十分でないとき、つまり企業が製品の性能を可能な限り高めるために非標準的な製品アーキテクチャにて新技術を用いて競争力を高めているときは、この条件は満たされないことが多い。もし複雑で補完的で予測不能な相互依存関係がシステム内にあるときには、単一組織の中にインターフェースを設けなければならない。

指定可能性、検証可能性、予測可能性が揃ったとき、複数の組織が距離を置きながら連携できるようになる。モジュール型インターフェースが確立すると、そのインターフェースに沿って産業の非統合化が起こる。

指定可能性、検証可能性、予測可能性が存在しない場合は、経営者による監督と調整が、調整メカニズムとして優れた機能を果たす。またモジュール化の条件が満たされない場合は、組織統合が重要となる。

製品の機能性と信頼性が顧客のニーズを十分満たしていない状況で圧倒的に優位に立つ企業は、独自の製品アーキテクチャを持ち、バリューチェーンの中で性能を制約するインターフェースをまたいで統合されている。

一方、機能性と信頼性が「十分以上」になり、代わってスピードとレスポンスが「不十分」な状況では、相互作用の方式がモジュール型アーキテクチャと業界標準によって定義されている特化型の専門企業が優位に立つ。

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