イノベーションへの解:事例1. コダック

図2-5. 破壊的ルーツを持った企業・製品・ジャンルの例

1. コダック

<製品 × 新市場型破壊>

  • 低価格:ブローニーカメラは1900年にたったの1ドルで販売され、当時のカメラとしては非常に安価だった。
  • 簡単な操作性:「You press the button, we do the rest(ボタンを押すだけ、あとはお任せ)」というスローガンで表現されるように、専門知識がなくても写真撮影が可能になった。
  • 無消費の取り込み:写真撮影は専門家や富裕層の趣味だったが、ブローニーは子どもや一般家庭にも写真文化を普及させた。
  • 性能不足:プロ用高級カメラと比べると画質や機能面で劣っていたため、当初は既存ユーザーには受け入れられなかった。
  • 新市場の創出:アマチュア写真家や家庭用途という新たなニーズを掘り起こし、写真を「記録」ではなく「日常の楽しみ」として再定義した。
  • 継続的収益の実現:本体を安く売り、フィルムや現像サービスで収益を上げるビジネスモデルを確立した。

<補足情報>

  • 1910年頃までの写真術はきわめて複雑で、高価な機器を所有し、使いこなせるのは専門家だけだった。
  • 創業者のジョージ・イーストマンは、1900年に「ブローニー」というカメラ製品を1ドルで発売し、大衆に写真を一気に普及させた。
  • 単純な「押すだけ」のブローニー・カメラの登場によって、消資者にも自分で写真を撮れるようになった。
  • 撮影済みのフィルムをコダックに郵送すれば、現像した写真が送り返されてきた。
  • 世界で初めてロールフィルムおよびカラーフィルムを発売し、世界で初めてデジタルカメラを開発したメーカーである。
  • 2000年頃までは世界的な大手企業であり、「写真撮影の決定的瞬間」を意味する「コダック・モーメント(Kodak Moment)」という言葉も生まれた。
  • 写真フィルム事業での大きすぎる成功のため、写真フィルムの業績に悪影響を与えるとの理由から発明品であるデジタルカメラの商業化を見送るなど、デジタル化の波に乗り遅れ、2000年代以降のフィルム市場の急激な衰退にともない、2012年に会社が倒産した。
  • 「コダック・モーメント」は「市場が急激に変化する決定的瞬間」を意味することになり、旧分野での大きすぎる成功のため、新たなイノベーションに乗り遅れる「イノベーションのジレンマ」、または新興の技術が、旧来の優れた技術を破壊的に駆逐する「破壊的イノベーション」の代表的な犠牲者として知られることになった。

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