イノベーションへの解 第2章-10:最強の競合企業を打ち負かす方法

<新市場破壊>

新市場型破壊の製品は従来品に比べれば手頃な価格で入手できて使いやすいため、新しい顧客が手軽に購入して利用するようになる。このことから、新市場型破壊は「無消費(消費のない状況)」に対抗するものと捉えることができる。

新市場型破壊は、当初その独自のバリュー・ネットワークのなかで「無消費(消費のない状況)」と対抗するが、性能が向上するにつれ、主流のバリュー・ネットワークの顧客を、最も要求の甘い階層から始めて、次々と新しいバリュー・ネットワークの中に引きずり込むようになる。新製品を使う方が便利だと気付いた顧客を主流市場から引きずり出し、新市場へと引きずり込むのである。

新市場型破壊では競争相手が「無消費」であるため、既存の優良企業は破壊が最終段階に至るまで、痛みも脅威もほとんど感じない。そして優良企業は、新市場型破壊に直面すると攻撃者を無視するように仕向けられる。これが「イノベーションのジレンマ」に陥る原因となる。

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