イノベーションへの解 第4章ポイント
破壊的イノベーションの実現方法
- ローエンド型破壊
- 顧客:主流製品を現在使っているが、性能の一層高い製品には無関心
- 方法:ローエンドのビジネスを勝ち取るために必要な低い価格でも、魅力ある利益を得られるようなビジネスモデルを考案する
- 新市場型破壊
- 顧客:無消費者
無消費は、用事を片づけたいが、市販製品が高すぎたり、複雑すぎたりするため、自力で出来ずにいるときに発生する - 方法:3つのリトマス紙(用事の質問)を用いる
- 顧客:無消費者
新市場型破壊とは
- 新市場型破壊 = 金やスキルを持たなかった大勢の人が、製品を購入し、利用することで、自力で用事をこなせるようにするイノベーション
- 無消費 = 用事を片づける必要があるが、望ましい解決策がこれまで手の届かないところにあった状況
- 無消費に対抗する = 新市場を標的とするイノベーターの行為
新市場型破壊の4つのパターン
- ターゲット顧客はある用事を片づけようとしているが、お金やスキルを持たないため、解決策を手に入れられない
- 新市場の顧客を喜ばせるための性能ハードルはかなり低い
- 破壊では、誰でも購入し利用できる、シンプルで便利な製品が作られる
- 破壊的イノベーションは、まったく新しいバリュー・ネットワークを生み出す
優良企業が抱えるジレンマ
- 破壊的イノベーションは、優良企業のコア事業が堅調な間に顕在化するため、新市場型破壊は上層部の関心を引くことはできない
- 優良企業は、破壊から既存顧客を守る必要が生じたとき、破壊的技術(新技術)を導入して臨もうとするが、成長機会を逃し、無消費から現れた破壊者にやがて滅ぼされる
- 新技術が将来的に顧客を奪おうとも、企業の生命線である既存顧客からの収益は、いかなる犠牲を払ってでも防御しなければならない
イノベーションのジレンマを脱出する2ステップ
- 資源配分プロセスでは破壊的イノベーションを「脅威」として位置付けることで、最高幹部からコミットメントを引き出す
- 破壊的イノベーションを「機会」として捉えることができる自律的な組織に、そのプロジェクトを任せる
図4-1. 資源のコミットメントを獲得し、それを破壊的な成長機会に向ける方法
新市場型破壊の実現条件
- 新市場型破壊を通じて成長を生み出すためには、「主流市場に向けた既存の資源配分プロセス」と並行して「新市場型破壊を実現する新しい資源配分プロセス」を持ち、破壊的な可能性のある機会を既存の資源配分プロセスへ徐々に導き入れなければならない
- この並行プロセスのもとで、破壊的事業のアイデアは、新市場型破壊の4つのパターンに適合するような事業計画として形作られなければならない
破壊的チャネルの必要性
- イノベーションを推進する経営者は「自社の新製品を上位市場に移行するための原動力として捉えてくれるチャネル」を探さなければならない
- 大成功した破壊では、製品とそれを顧客に届けるチャネルとの間に、相互に利益をもたらす関係が成立する
- 破壊的製品には、破壊的チャネル(破壊的能力を秘めたサービス企業)が必要となる
- 「持続的向上において最も収益性の高い製品を販売する」という責務を認識させるために、チャネルに金銭的インセンティブを与えるべきではない