イノベーションへの解 第3章ポイント
破壊的イノベーションの機会を発掘する「状況ベース」の細分化
- 製品にどのような特長や機能を付加し、どのようにポジショニングすれば、顧客に買わせることができるのか、その因果関係を明らかにする
- 顧客が片づけようとする用事や、その用事を通じて達成しようとする成果が、状況ベースの市場区分を構成する
- 製品のターゲットを顧客そのものではなく、顧客が置かれている状況に絞れば、狙い通り成功する製品を市場に展開することができる
成長とは
- 成長とは「顧客が特定の用事を片づけるために、不満を感じながらも時折雇っている他の分野の製品」からシェアを奪うことで生まれる
- 破壊的事業の成長が始まるのは、イノベーションが向上して、既存企業の製品に取って代わるときである
- その後、収益性のさらに高い顧客のニーズを満たすために背伸びをすれば「持続的向上」が実現する
新成長事業の構築
- 製品の新たな成長は「無消費」の中に潜んでおり、無消費と対抗することは最大の成長を生み出す方法である。
- 新成長事業を構築するにあたり、ターゲット顧客が片づけようとしている用事を突き止めることが最初に必要になるのは、新市場型破壊への参入点(破壊のための足がかり)となる最初の製品やサービスを模索するときである
- 破壊的製品の標的を「多くの人が片づけようとしているが、これまでどのような製品もうまくこなせなかった用事」に絞ることができれば、それを最初の足がかりとし、その後の持続的な向上によって成長し続けることができる
- 新市場型破壊の足がかりとなる「人々が片づけようとしている用事に近い初代製品」を素早く市場に出すためには、観察や聴取を通じて顧客が片づけようとしている用事を見極めるとともに、迅速な開発と素早いフィードバックを戦略的に行う必要がある
破壊的イノベーションの課題
- ローエンド型破壊の課題は、低コストのビジネスモデルを上位市場にまで拡張し、収益性の高い顧客が片づけようとしている用事をこなす製品にも適用することである
- 新市場型破壊の課題は、上位市場に向かう経路を作り出すことであり、上位市場への破壊的行進を続けるために、「用事」を基にした細分化による改良を選択する必要がある
破壊的イノベーションのポイント
- 「顧客が片づけようとしている用事」によって市場を従える
→ 顧客の時間の過ごし方に即したイノベーション項目を定義できる - 「状況ベースの区分」に基づく理論を用いる
→ イノベーションが理解しやすく予測可能になる
優良企業が行う属性べースの細分化、コモでティティ化の原因と解決案
- 的を絞ることへの恐れ:製品の焦点を特定の用事に絞ると、それ以外の用事を片づけようとしている顧客にとっての魅力が薄れる
<解決案>- 状況ベースの区分によって製品開発を行えば、競合他社の機能を模倣しなくなる
- 顧客が片づけようとしている用事に的を絞れば、新製品開発の成功確率を高められる
- 上層部による定量化の要求:市場データに合わせて事業予測を立てがち
<解決案>- 用事や状況をベースとした市場区分の規模や性質を定量化するには、一般的な市場定量化手法とは異なる調査・分析手法を用いなければならない
- 破壊に合わないチャネル構造:流通経路が製品区分で組織化されているため、片づけるべき用事に合わせて製品を絞れない
<解決案>- 製品を売ってもらうためには、新しいタイプの流通業者を探し、彼ら自身が上位市場へ移行して既存のチャネルを破壊するような製品を提供する
- 間違った広告とブランド戦略:属性ベースのコミュニケーション戦略が正しいと思い込んでいる
<解決案>- ブランドを通じて「状況」を表現し、ブランドを「片づけるべき用事」として認識させることで、製品を雇ってもらう
- ローエンド型破壊には、破壊的製品が雇われるべき用事を想起させる「目的ブランド」を構築する
片づけるべき用事を見極めることの重要性
- 破壊の足がかりを特定し、将来の顧客になり得る人々が生活の中で片づけようとしている、特定の用事と結び付ける
- 持続的向上を進める間も特定の用事に結び付いたままでいること、そして顧客を雇うべき製品に誘導する目的ブランドを構築することで、破壊的製品を成長軌跡上に留める