イノベーションへの解 第7章-7:破壊的成長能力を持つ組織とは
優良企業の価値基準は、少なくとも2つの側面において、しばしば予測可能なやり方で時間をかけて変化していく。
- 粗利益率の許容範囲に関わる変化
- 企業が市場の上位市場の魅力的な顧客を獲得しようとして製品やサービスを改良すると、間接費がかさむことが多い。
- 企業の価値基準は上位市場に移行するうちに変わっていく。
- 企業がうまみを感じる事業規模に関わる変化
- 企業の株式時価総額は予想将来収益の割引現在側値に等しいため、単に成長を持続させるだけでなく、一定の成長率を維持しなければならない。
- 企業は大規模になるにつれ、小さな新興市場に参入する能力をすっかり失ってしまう。
- 成功した大企業は、莫大な資源を思い通りにできるようになるが、その価値基準のせいで、今は小さいが大きく育つであろう破壊的市場に投入することはできない。
組織の能力は、設立間もない頃には「資源」に影響を受けるが、やがてそれは「プロセス」や「価値基準」へと移動する。人々が繰り返し発生する作業に協調して取り組むうちに「プロセス」がはっきりしてくる。そして、ビジネスモデルが形成され、どのタイプの事業が最優先されるかが明確になるにつれて「価値基準」が生まれる。