イノベーションへの解 第6章-6:コモディティ化をいかにして回避するか
競争力は、得意な業務を行うことではなく、むしろ顧客が高く評価する業務を行うことから生まれる。競争基盤が変化しても競争力を持ち続けるためには、新しい物事を学習する意欲と能力を持つことが必要である。そして、上に向かってバリューチェーンを侵食してくる勢力に対抗するには、部品やサブシステムの供給業者を所有または買収し、独立した成長志向の事業として運営するとよい。
ブランドにもコモディティ化や脱コモディティ化が生じる。ブランドに最も価値があるのは、価値連鎖の「まだ十分でない」段階である。
顧客が製品の性能に不安を持っているとき、周到に練られたブランドがあれば、顧客が必要とするものに近いイメージを与えることができる。複数の業者が供給する同じ等級の製品が、どれも十分以上であることが明らかな場合には、「ブランドがプレミアム価格をつける能力」が失われる傾向にある。
機能性の行き過ぎが生じると「ブランドによる利益を獲得する能力」は、しばしばバリューチェーンの別の地点に移動する。こうした地点は、製品内の性能決定サブシステムにあることが多い。また速度、単純性、利便性が十分でない場合には、小売業者とのインターフェースにあることが多い。このような移動がブランド構築の機会を決定づける。