イノベーションへの解 第8章-4:戦略策定プロセスのマネジメント
一般に資源配分プロセスは複雑で分散しており、組織のあらゆるレベルで常に機能している。資源配分プロセスで優先順位の決定を導く価値基準が、企業の意図的戦略と連動していなければ、企業の意図的戦略と現実の戦略とが大きく食い違うことがある。
企業の戦略は、資源配分プロセスの中に入るもの(インプット)ではなく、そこから出てきたもの(アウトプット)である。一つひとつの資源配分決定が、企業の現実の行動を形づくる。そして、この行動が新しい機会や問題を引き起こし、意図的および創発的戦略策定プロセスに投入されるインプットを再び生み出す。
資源配分プロセスを強力に突き動かしているのは、組織の「価値基準(経営者や従業員が優先順位付けの決定を下す際の判断基準)」である。中間管理職がどのアイデアを推進し、どのアイデアを放置するかを決定するために用いる「価値基準」が、資源配分プロセスの帰結を大きく左右する。上層部が資金投入の意思決定を下す際に用いる価値基準も、資源配分プロセスに大きな影響を与える。